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偉大なピアニスト、アルド・チッコリーニさん亡くなる

偉大なるピアニスト、アルド・チッコリーニ(Aldo Ciccolini )さんが、(2015年)2月1日に、パリ郊外のご自宅で亡くなられたそうです。

心からご冥福をお祈りします。(合掌)

 

(©三浦興一/写真提供=藍インターナショナル)

(©三浦興一/写真提供=藍インターナショナル)

 

チッコリーニさんは、1925年イタリア・ナポリの生まれ。ナポリ音楽院に入学。作曲とピアノを学ばれ、なんと22歳という若さでナポリ音楽院のピアノ科教授に就任されたのだそうです。ピアニストとしてのデビューは、16歳のとき、サンカルロ劇場にて。

(チッコリーニさんのお写真は、「藍インターナショナル」様からお借りすることができました。ありがとうございました。[無断転用禁止])

70年以上もの間、現役として活躍されてこられたチッコリーニさんは、80歳を超えてからも、たびたび日本にいらしており、その美しい音色(響き)を私たちに聴かせてくださっていました。

今年も11、12月に90歳記念の日本公演が予定されていただけに、本当に残念でなりません。

チッコリーニさんが愛されたピアノの一つにFAZIOLI(ファツィオーリ)があります。イタリアのピアノのメーカーで日本のホールでは数えるほどしか置いていないピアノですが、高音部はキラキラと輝き、低音部は重層な音色が特徴的なとても魅力的なピアノです。チッコリーニさんが弾かれていることで、私はファツィオーリを知りました。

ファツィオーリではありませんが…( ©うさ )

ファツィオーリではありませんが…( ©うさ )

 

初めてチッコリーニさんの演奏を生で聴いたのは2003年のモーツァルト・プロだったと思います。よく知っているモーツァルトのピアノ・ソナタがプログラムに組まれていたのだけれど、新しい発見がいっぱいだったし、こんなに素敵な曲だったのだと改めて教えていただいた気がしました。

とても清澄で心に優しく染み込んでくる演奏だったことを鮮明に覚えています。このコンサート以来、私はチッコリーニさんの大ファンとなりました。

 

〈偉業の多いCD〉

EMIレーベルを中心に膨大な録音歴があり、近年も、モーツァルトとベートーヴェンのソナタ全集、ベートーヴェンの協奏曲全集、ヤナーチェクのピアノ作品全集等、とにかくたくさんの名演が詰め込まれたCDがあります。

そんな中から、初心者でも聴きやすいCDを何枚かをピックアップしてみました。

   
 

左=ピアノ作品集/Ciccolini: 13 Waltzes
右=モーツァルト(1756-1791)/Piano Sonata 12 14 Fantasy: Ciccolini +clementi (2011)

 

セヴラックやサティは、チッコリーニさんが日本に持ち込んできてくれたと言っても過言ではないと思います。

   
 

左=セヴラック(1872-1921)/En Languedoc-piano Works: Ciccolini
右=サティ(1866-1925)/Piano Works: Ciccolini(P) (1983-1986)

 

〈主な来日公演とプログラム〉

以下は、ネット関連にあがっている情報(ホールの公演情報、他)を拾ってきたものです。個人の方で「演奏会に行ってきました」という記事もいくつか収集しました(2つ以上見つけたものを付け合わせました)ので、もしかするとまちがいなどあるかもしれません。(お気付きの方がいらっしゃれば、コメント欄からご教示ください。随時、修正・加筆したいと思います。)

チラシ

2003年10月12日、すみだトリフォニーホール
~ザ・ベスト・オブ・モーツアルト~
モーツァルト/ピアノ・ソナタ 第2番 へ長調、第11番 イ長調、第13番 変ロ長調、幻想曲ハ短調、第14番ハ短調
使用ピアノ=ファツィオーリ)

2005年10月31日、東京文化会館
使用ピアノ:ファツィオーリ
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調、第23番 ヘ短調「熱情」
ラヴェル/優雅で感傷的なワルツ
ファリャ/4つのスペイン小曲集、アンダルシア幻想曲

2008年3月22日、すみだトリフォニーホール

2008年3月26日、すみだトリフォニーホール
指揮:ペトリ・サカリ
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
シューマン/ピアノ協奏曲 イ短調
シベリウス/交響詩「タピオラ」
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調

2010年3月14日、すみだトリフォニーホール
シューベルト/ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960
ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」

2010年3月16日、すみだトリフォニーホール
指揮:ヴォルフ=ディーター・ハウシルト
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37、第4番 ト長調 op.58

2011年10月27日、すみだトリフォニーホール
指揮:トーマス・カルブ
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488

2011年10月31日、すみだトリフォニーホール
クレメンティ/ピアノ・ソナタ ト短調 作品34-2
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 作品110
リスト/「神前の踊りと終幕の二重唱」S.436
リスト/「イゾルデの愛の死」S.447
リスト/「眠りから覚めた御子への賛歌」
リスト/「パレストリーナによるミゼレーレ」
リスト/「祈り」

2012年12月1日、すみだトリフォニーホール
〈ドビュッシーとセヴラック〉
ドビュッシー/前奏曲集 第1巻
セヴラック/「休暇の日々から」第1集
演奏会用の華麗なワルツ「ペパーミント・ジェット」ほか

2014年6月18日、東京芸術劇場
ブラームス/4つのバラード Op.10
グリーグ/ピアノ・ソナタ Op.7
ボロディン/賞組曲
カステルヌオーヴォ=テデスコ/ピェディグロッタ1924 ナポリ狂詩曲

 

 

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コメント

  1. 北岸恵子 より:

    2008年3月22日のプログラムは、
    フランツ・リスト
    詩的で宗教的な調べ S.173 です。
    演奏順は、1.祈り、2.アヴェマリア、3.孤独の中の神の祝福、6.眠りから覚めた御子への讃歌、8.パレストリーナによるミゼーレ、(休憩)4.死者への追憶、5.主への祈り、7.葬送、1849年10月、9.アンダンテ・ラクリモーソ、10.愛の讃歌
    以上です。
    チッコリーニ氏の一ファンです。来年1月31日、チッコリーニさんゆかりのファツィオーリでコンサートをして、チッコリーニさんが演奏された曲を弾いて彼を偲びたいと思っています。

  2. うさ より:

    >北岸恵子さま
    コメント、そしてかつてのプログラムの情報をありがとうございます。

    ファツィオーリでのコンサートをされることが決まっているんですね! チッコリーニさんはいろいろな曲を弾かれていらっしゃいますが、プログラムにはどんな曲目が並ぶのでしょうか? どちらのホールなのかもわかればチェックしたいです^^*

  3. 北岸恵子 より:

    うささま

    お返事いただきまして、ありがとうございます。
    今から約40年近く前にチッコリーニさんのセヴラックのレコードを偶然に見つけてからのファンなのですが、実演は2008年までチャンスがなく、それからは来日の度に東京や豊田へも足を運びました。本当に偉大な音楽家、と聴くたびに思い、感動しました。最後は大フィルとのサンサーンスのコンチェルトでした。
    私は滋賀県の住人で、近くの栗東芸術文化会館さきらにファツィオーリがあります。このピアノは15年前、チッコリーニさんが選ばれ、ピアノ開きをされました。
    来年1月31日、小ホールでこのファツィオーリでリサイタルをします。曲目は前半は普通にモーツァルトとショパンの予定ですが、後半はチッコリーニさんにちなんで、最後のリサイタルで弾かれたボロディンの小組曲、そして大好きなセヴラックの「ラングドックにて」を弾くつもりです。

  4. うさ より:

    >北岸恵子さま
    再訪ありがとうございます。
    そうだったんですね。

    ファツィオーリは、栗東に設置された当時ホールにつとめられていらっしゃった方と知り合いだったこともあり(今は別の職場にいらっしゃいますが)、ファツィオーリの素晴らしさをいろいろ教えていただきました。キラキラしている高音や、低音部の安定感など本当に素敵なピアノですよね。いろいろ思い出してきました。私は関東の住まいなので、栗東まではちょっとうかがえませんが、素敵なコンサートになりますことをお祈り申し上げます♪

    よろしければまた遊びにいらしてください^^*

  5. 北岸恵子 より:

    うささま

    ご無沙汰しております。
    チッコリーニさんの御命日が近づいてきました。そして、私のリサイタルも目の前です。
    コンサートスクエアにチラシを送りました。アドレスは下記ですが、見ていただけるでしょうか?
    https://www.concertsquare.jp/blog/2016/201601194.html
    チラシにはチッコリーニさんのことを書いていませんが、当日配布のプログラム、プログラムノートには書きたいだけ、書きました。チッコリーニさん直筆のサインの写真も載せています。
    私が何をできるわけではないのですが、私は彼の演奏を忘れることはできないですし、一ファンとしてそのことを当日来ていただいた方に少しでもわかっていただければと思っています。

    いつかどこかでお会いして、チッコリーニさんのお話ができればうれしいです。