2003年に80歳だったアリシア・デ・ラローチャさんが惜しまれながらピアニストを引退されました。そして先日(2009年9月25日)、スペイン・バルセロナで天に召されたというニュースを聞きました。享年86。
このニュースを聞いた時、なんだかどんよりと悲しい気持ちになりました。私は一度もラローチャおばあちゃんの生の演奏会には足を運んだことがないのに、なぜだかとても親しみを覚えていたこともあって…。
「私の手は、ほら、見てごらん、もう昔のようには伸びないの。痛みも出ているし、ここらが本当の潮時なのよ」(濱田滋郎氏によるライナーノートより)
引退される時濱田氏にこう話されたのだそうです。
そして濱田氏は涙が止まらなくなったのだそうです。
昨晩、改めて手持ちのCDを引っ張り出して聴いてみました。
レーベル:BMG JAPAN 規格番号:BVCC-34065
発売日:2003年08月20日(94年録音)
グラナドス/組曲「ロマンティックな情景」H.57
グラナドス/スケッチ集 H.16
グラナドス/若き日の物語 Op.1/H.39
(上記品はもう古いCDなので売切れ店多いです。)
〈2017年追記〉
2017年4月に再販されました!
(3枚組のボリュームで、ジャケ写も変わっちゃいましたが。)
クリックするとYAHOOショッピングのHMV&BOOKS onlineさんへ飛びます。現在は中古のみしか販売がないようです。
→ 【中古】 Granados グラナドス / ラローチャ・プレイズ・グラナドス(3CD)
「ラローチャ・プレイズ・グラナドス」は、
エンリケ・グラナドスというスペインの作曲家の曲ばかり収録されたものです。
ラローチャおばあちゃんは、このグラナドスの一番弟子だったフランク・アーシャルという先生に教わっていたのだそうです。そしてラローチャおばあちゃんのお母さんや伯母さんにあたる方もグラナドスの直弟子だったのだそうです。
このCDを聴いていると、スペインに行ったこともなければ、スペイン語も話せない私ですが、勝手にイメージしている「スペイン」の響きが、ラローチャおばあちゃんの演奏語法のもとにどんどん拡がっていきます。体中にスペインのリズムが刻まれていくような気がしてくるのです。
そして、ラローチャおばあちゃんの音楽は明るく暖かく優しい。来る者拒まずのような「こちらへいらっしゃい」と受け入れてもらえるような…そんな音楽。とても居心地が良いのです。だから勝手に「ラローチャおばあちゃん」なんて呼んだりして…。
そんなラローチャおばあちゃんでも、レッスンの時は演奏とは正反対でものすごく厳しく怖かったそうな…(笑)。
ラローチャおばあちゃんの身長は144cmくらいだったそうで、「世界で最も小柄なヴィルトゥオーゾ」なんて言われていました。もちろん手も小さいのです。けれど、おばあちゃんのピアノ曲のレパートリーはとても幅広く、通常手の大きな人の方が有利な曲(たとえば、ラフマニノフの曲などはかなりの開きがないと厳しかったりするのです)でさえ、おばあちゃんのレパートリーに入っていました。もちろん演奏は、手の大きさなど全く感じさせない素晴しいものです。
一度ライヴで聴きたかったな…。80歳の引退まで暗譜(楽譜を見ないで弾くこと)で弾き通されたとも聞いています。これはどんなに偉大なピアニストでも、なかなか出来ることではないんですよね。本当に敬意を表します。
と共に、心からご冥福をお祈りいたします。合掌。
コメント
引退のときのニュース、覚えてます。
お亡くなりになってしまったんですね。残念です。ご冥福をお祈りします。
うささんお勧めでもあるし、ちゃんと聴いてみたいと思います。
やっぱりモーツァルトでしょうか?
こんにちは!
私もラローチャは録音でしか知りません。まだ私が中学生の時に札幌にも来たのですが、そんなすっごいおばあさまだとは知りませんでした。
その後、LPを買った彼女が弾くラヴェルのコンチェルトがなかなか素敵だった記憶があります。
私も実演は聴いたことが無いのですが、スペインの作曲家の小品ばかりが入ったCDがお気に入りでした。
本当にうささんの言うとり「来るものを拒まず…居心地の良い・・・」ホッとする音楽だったなあと、改めて思いました。
演奏も、人間的にも素敵なピアノストだったんですね。
残念でなりません。
>chicoryさん
引退のニュースを覚えていらっしゃるとは、なかなか通ですね!!
2003年に日本で引退リサイタルをされましたが、行かれた人達はどの人も素晴しかった、心に残る演奏会だったと口を揃えておっしゃられます。モーツァルトの録音は私は持っていないので、実は聴いたことがないのですが、マニアックな友人の何人かから、「いいよ〜!」とか、「これ聴いて泣けてきた」とか、絶賛されています♪ モーツァルトのソナタ全集というのも出ているのですが、ちょっと値段がどうかなと思ったので、今回はソナタの中でもわかりやすい曲が抜粋されているものをご紹介させていただきました。上記リンクから飛んだページに購入者の評が載っていますが、やはりとても良いもののようですし、ラローチャさんにおそらくハズレはないんじゃないかな…と思ったりします☆
ただモーツァルトがお好きだという理由があって選ばれるのであれば、日本人ピアニストの重鎮室井摩耶子さん(近々書こうと思っているネタなのですが)のCDもお薦めです☆
>MUUSAN
中学生の時にこんなピアニストが来たなんて記憶が残っているなんて、すごいですね!! 私は自分の行ったのしか覚えていませんっっっ。それも、うろ覚えだったりして…。ラローチャおばあちゃんのタッチ(音色)は、柔らかでキラキラしているから、ラヴェルもとても合いそうですね。LPレコードはラローチャおばあちゃんのは持っていないけれど、ベートーヴェンの全集とか、私も何枚か持っているのですが、スピーカーだけ、親に捨てられてしまって(実家におきっぱなしだったのです)今、接続出来るものがなくて聴けない状態なんですよね(トホホ状態)。繋がったら聴きたいのがあるんですけれど…。
>きこじじさん
スペインの小品ばかりのは、かなりラローチャおばあちゃんの個性が生かされていそうなCDですね☆ グラナドスの「ゴイェスカス」とかアルベニスの「イベリア」の入っているのとはまた別なのかしら? 舞曲集の方かな? そうそう。ホッとする音楽という表現がピッタリな感じですよね☆
人間的には…かなりヒステリックな一面もあったらしいのですけれどね(笑)。怖いもの知らずの人が「どうしてそんなにレッスンの時と弾いている時は違うのですか?」と質問したらしいけれど、「そんなに違うかしら?」みたいな感じだったそうです(笑)。
スペインには行ったことはないけれど、クラシックギターでグラナドスを楽しんでいます。アンダルーサとオリエンタル 何度弾いても感動です。そしてラローチャおばあちゃんの生演奏を名古屋で一人で聴きに行った時のことを思い出します。真夏の夜の夢とゴエイスカス それにバッハのシャコンヌでした 最初の音を聞いたとき背中のゾクゾクを今でも思いだします。
いつまでも聞きたい演奏家でした
>なんちゅうことなら田舎暮らし様
コメントに気づかずにレスが遅くなり過ぎまして大変失礼いたしました。
クラシックギターをされていらっしゃるんですね! まさにスペインの曲の宝庫ですよね^^* ご自身の演奏で感動されるなんて、素敵過ぎますね音符
そして、ラローチャおばあちゃんの体験も今となっては本当に貴重な体験そのものだと思います。私は生演奏は触れることが出来なかったので、とてもうらやましく思います。