今年2014年は「ゴジラ・イヤー」と言っても過言ではないほど、あちらこちらでイベントがあります。
と、いうのも、初代ゴジラが登場したのが、1954(昭和29)年で、今年は生誕60周年にあたります。
そして、その初代から途中間があいてはいるものの10本ものゴジラ映画の音楽を手がけたのは、クラシック音楽界にも名前を残している作曲家「伊福部昭(いふくべ・あきら)」氏です。伊福部昭氏もまた、今年生誕100年という節目の年にあたります。
日本で初めて特撮怪獣映画として登場した「ゴジラ」。その音楽を、大人になった今、改めて聴いてみるととても魅力を感じてなりません!
● 伊福部昭氏とゴジラの関係
クラシック音楽を作曲していた伊福部氏が怪獣映画と関わることを決めたきっかけの一つは、
「『ゴジラ』と自分は似ている。」
と思ったからなのだそうです。
「ゴジラは水爆で大きくなった生物ですが、戦闘機やなんかも全然効かずに手で払いのけるような、ある種の痛快さがありました。そういうところも他人以上に共感を覚えたんじゃないかと思います。…」
(7月13日、東京オペラシティ コンサートホールで行われた「第4回『伊福部昭音楽祭』」のプログラム「ゴジラ回顧」伊福部昭〈インタビュー・構成=小林淳〉より引用)
伊福部 昭(1914-2006)/伊福部昭百年紀 Vol.1: 齊藤一郎 / オーケストラ・トリプティーク
伊福部昭氏は、ご自身も放射線に被爆したという経歴を持っており、ゴジラは水爆により甦ってきたものなので、こんなことを考えられたようです。
● ゴジラの登場シーンのこだわり
そんな伊福部氏が考えたゴジラの登場シーンですが、ゴジラの鳴き声、足音まで細やかに音楽として、タイミングや拍数まで指定されているのだと知りました。
Various/怪獣特撮映画音楽 Best King Best Select Library 2013
ゴジラの鳴き声は、コントラバスの弦を緩め、革の手袋を着用して弾き、録音の速度を変えて作ったのだそうです。足音も全音符で指定して、アクセントとデクレッシェンドが表記されており、「音楽」として扱われたということも、とても興味深いです。
そして、有名なメロディーへと続きます。
● ゴジラの音楽をちょっとだけ分析
ドシラ・ドシラ・ドシラソラシ・ドシラ…
ゴジラの楽譜を見たことがないので、自分の聴こえた感じを楽譜に起こしてみました(楽譜は「MuseScore」で作成しました)。なので、間違えているかもしれないことをご了承ください。
耳慣れたメロディーですが、楽譜に起こしてみると、
2拍子×2→3拍子→2拍子
という「変拍子」と言われているものなんですよ!
一般的にはわかりづらいリズムと言われている「変拍子」ですが、なぜか緊迫感のような不思議な感覚が、より気持ちを高揚させてくれる効果があるようなんです。
アイヌ民族の音楽や、ロシアの作曲家ストラヴィンスキーの音楽などとリンクするところがあると、伊福部氏ご自身もインタビューなどで語られていらっしゃいました。
85歳の時のインタビュー
「『春の祭典』(ストラヴィンスキー作曲)を聴いて、それまで聴いていた西洋音楽とは違って非常に近いものを感じた…」
((音楽現代」1999年10月号インタビュー「伊福部昭、自身の創作理念について大いに語る」〈訊き手=片山杜秀〉より引用)
● 余談ですが「変拍子と日本人」にも触れたく
今回の記事を書くにあたり、伊福部さんや、ゴジラのことを調べていて、面白い記事にも遭遇しました。
クリスピーさんのブログでは、日本古来からある歌「あんたがたどこさ」にも「変拍子」が含まれていると…!!!
それで私も探してみましたよ。
昔、私は、幼稚園教諭をやっていたことがあったのですが、子どもたちと遊んでいた曲でも1つ思い浮かんだものがあったのです! それは「かごめかごめ」のように輪になって遊ぶ…あれ!
♪ あわぶくたった〜 煮えたった〜 煮えたかどうだか食べてみよう ムシャムシャムシャ…まだ煮えない…
他は2拍子で進むこの歌ですが、「ムシャムシャムシャ」は、なぜか2拍子からはみだした3拍子ではないですか! しかも他は歌えなくても、ここだけ合わせて入ってくる子とかいたりするくらい印象的なリズム音型!!!
面白いなぁ〜ってついついマニアックに走ってしまいそう(笑)。
今、一番観たいなと思っているのは「ラドン」です。
怪獣映画って正直なところ、全くといっていいくらい興味がなかったのですが…夫サンにお付き合いして録画を観たのがきっかけで、伊福部さんの音楽にちょっとハマってきちゃった感があります。そして、伊福部マニアに言わせると映画「ラドン」は、伊福部氏の愛情の集大成ではないかと評判なんですよ(笑)。
さて、7月25日(2014年)より公開されているハリウッド版映画の「GODZILLA ゴジラ」も、ずいぶん話題になっていますが、音楽を作ったのは、アレクサンドル・デスプラ氏です。私はまだ見に行っていませんが…どんな音楽がついているのか興味はあります。
デスプラ氏はテレビ番組で次のように語っていました。
「テーマ音楽を作るにあたってメロディではなくリズムを大切にしました。口ずさむことはできますが、歌ではないもの。これは伊福部の影響なのかもしれません。」
(NHK BSテレビ「音で怪獣を描いた男〜ゴジラ VS 伊福部昭」 より)
ハリウッド映画を見たい方はチケット発売中です♪
GODZILLA_ゴジラ
(ユナイテッド・シネマのページに飛びます。
音が出ますのでご注意を♪)
また、伊福部氏によるCDはこの他にもたくさん出ていますが、とりあえず抜粋してみました!
左から
Soundtrack/ゴジラ・ガメラ・ギララ史上最大の音楽決戦Various/大怪獣伝説-東宝sf特撮映画メイン テーマ大全集 (Rmt)
books
左から
Book/Godzilla ゴジラ オフィシャルブック
Books2/初代ゴジラ研究読本 洋泉社mook
Magazine (Book)/ゴジラ完全解読 別冊宝島
楽譜を探したい方はこちらからどうぞ ♪
ヤマハミュージックメディアの楽譜DL販売サイト「ぷりんと楽譜」で「ゴジラ」の楽譜を探す
コメント
こんにちは。古くからの伊福部ファンとしては、この記念年に数々のCDがリリースされるのは、夢にも思わなかったうれしいできごとです。でも、夢でうなされるほど出費がかさみます。
MUUSANさん
こんにちは♪ コメントありがとうございます!
MUUSANさんは、伊福部ファンだったんですね! 年季が入っていそうですね〜(笑)。
実は私は北海道出身でありながら、実は今までそんなに伊福部音楽って聴かずにきてしまっていたんです。作風が少し古いと言われていても現代音楽の括りに入るとっつきにくい曲では…と思っていたものですから。おそらく、これだけ露出が増えてくれば、私のように改めて聴いてみようと思う人も増えているような気がします。
確かにいろいろCDがリリースされたり、コンサート(音楽祭)も今年は驚くほどたくさんあるので、ファンの方にとっては、出費が相当なことになることでしょうね(◎д◎;
とはいえ…オススメのCDなどがあれば、ぜひ教えてくださいませ♪