桜の咲く季節から1ヶ月近くにわたって上野の森で開催される「東京・春・音楽祭」、東京フォーラムを中心に世界の超一流演奏家が集結する「ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン」、日本中の合唱人が楽しみ、学ぶ「Tokyo Cantat」と、クラシック音楽界は、春からゴールデンウィークにかけて、楽しすぎて浮き足立ってしまう「音楽の祭り」が目白押し♪
そんな中、今年、新たにもう一つ加わったのが…!!
「ピアノ・デュオ 春の祭典2014~東日本大震災復興への祈りを込めて~」。
開催は仙台と東京の2回公演。そして蓋をあけてみると実に濃厚! 世界に向けて連弾界の先頭をきって発信できるものでは…? というワクワク感、のびしろ感、たっぷりの内容でした。この音楽祭の開催意図などは、こちらに書かれているのでこのページでは省略。
「ピアノ・デュオ 春の祭典2014~東日本大震災復興への祈りを込めて~」
私は5月4日、東京オペラシティ(リサイタルホール)で開催された東京公演に行ってきました。司会は、連弾研究の第一人者・松永晴紀氏。演奏曲の概要などを知りながら聴くことができ、とてもわかりやすい進行でした。実は、第2部からしか聴けなかったのですが…(残念!)おおよそのご報告をします。
なお、写真は、連弾ネット様、出演者の方々の御厚意で、お借りさせていただくことが出来ました。撮影は関沼正幸氏です(URLが入っているもの以外)。ありがとうございました!
聴けなかったのが本当に残念でした。なので、演奏に関しては触れられませんが、情報のご紹介のみということでご容赦ください。
出演されたのは3組。
ピアノデュオ「ベルゼール」[佐々木視令(ささき・みはる)&智令(ちはる)]
スメタナ作曲/交響詩「わが祖国」より〈モルダウ〉(連弾ネット版)
すごく可愛らしい双子の姉妹。華奢なお姿ですが、演奏は迫力満点! 今回は十八番の「モルダウ」にて参加。
ここに行けば会えます♪
「2台ピアノと連弾の集い」4人のピアニストが繰り広げるオーケストラの響き
●7月25日19時、ルーテル市ヶ谷ホール
公式ページピアノデュオ belles ailes (ベルゼール)
AMUSique[阪部智代(さかべ・ともよ)&宮原極(みやはら・きわみ)]
ローゼンブラット/2つのロシアの主題によるコンチェルティーノ
クラシック音楽の中に、ジャズそしてアニメなどジャンルを問わず、自分たちの見えてきたものの要素を加えて演奏されているというお二人。どんな情景が展開されていくのか聴いてみたい♪
9月にデビュー・リサイタル開催!
●9月21日14時30分、ゲバントホール(広島県)
●9月26日19時、ティアラこうとう小ホール(東京)
公式ページHouse of AMUSique
斉藤デュオ[斉藤昭彦(さいとうあきひこ)&美紀(みき)]
ラフマニノフ/6つの小品 Op.11より
まだまだお若いのですが、すでに日本を代表するデュオに名前を連ねていらっしゃるお二人。今回演奏されたラフマニノフ/6つの小品は、収録されているCDもあるのですが、生演奏で聴きたかったです! どんな色づけをされたのか…本当に聞き逃してしまったことが残念でなりません!
CD情報
Duo-piano Classical/Presence-mozart Schubert Rachmaninov: 斉藤デュオ
公式ページ斉藤デュオ 斉藤昭彦&美紀 ~ピアノデュオ(2台ピアノ・連弾)~
私も連弾や2台4手、2台8手などの演奏経験はありますが、2人で同時に打鍵する時などは特に、呼吸・音楽を合わせていかなくてはならず、ピタッと合わせていくのは本当に至難の業だということを知っています。音楽を同じように感じていなくてはならないのですから。それがピッタリ合った時の喜びは、アンサンブルの醍醐味でもあるのですけれど、そんな「合わせる」なんてレベルはもう当然状態で、音楽をどう作り込んでいくのか、プロとしては当然? いえいえ、プロだって簡単なことではないはずです。そんなことを考えさせられたステージでした。
ピアノデュオ・ドゥオール
[白水芳枝(しらみず・よしえ)&藤井隆史(ふじい・たかし]
リスト/悲壮協奏曲
デュオを始めて10年というご夫妻。息もピッタリ! そしてお二人共表情がとても豊か! 第1ピアノの藤井さんが熱く想いを鍵盤に込め、第2ピアノの白水さんが、それを大きく受け止める。その表情から、デュオの魅力がじわじわ伝わってくる熱演でした。
ブラームス(1833-1897)/(Duo Piano)sym 1 : 藤井隆史 白水芳枝 +academic Fest Overture
公式ページPianoduo Deu’or
瀬尾久仁(せお・くに)&加藤真一郎(かとう・しんいちろう)ピアノデュオ
ストラヴィンスキー/ペトルーシュカからの3楽章
2003年に日本で行われた「第12回 国際ピアノデュオコンクール 2台ピアノ部門」で第1位を獲得した時に私は初めて彼らの演奏を聴きました。その時の強烈な印象はいまだに忘れられません。
今回の演奏も、とにかくキレがよかったです! 身体にリズムが刻まれていて、全身が音楽でつくられているような…そんな二人の演奏は本当に引き込まれます。そしてデュオならではの「会話」が組み込まれているのです。二人の演奏を聴いていると「言葉」が聴こえてくるから不思議です。
【送料無料】 瀬尾久仁 & 加藤真一郎 Piano Duo: 2 Pianos-stravinsky, Chopin, Berio, Mozart, 三善晃 【CD】
公式ページSeo & Kato Piano Duo
ピアノデュオ 中井恒仁(なかい・のぶひと)&武田美和子(たけだみわこ)
ラヴェル/ラ・ヴァルス
ラヴェルがウィンナー・ワルツに憧れて作ったというこの曲を、日本のデュオを牽引している位置にいる二人が演奏。何度かお二人の演奏は聴かせていただいており、安定している素晴らしいデュオだといつも思わせてくれます。それでいて、じわじわと心に迫ってきたり、時に情熱的な音色、艶っぽい表現でありながら、明確に伝えたいことを構築しながら進んでいく音楽は1音たりとも聴き逃したくなくなるのです。
ちなみに私の愛聴盤でもあります。
公式ページNobuhito Nakai & Miwako Takeda Official Website
演奏会はまだ続きます。
今回の音楽祭では、日本のデュオの先駆者たちの他にアメリカからの招聘デュオも参加されました。その名も「ZOFO duet」!
ZOFO duet[EVA-MARIA ZIMMERMANN & 中越啓介(なかごし・けいすけ)]
デリー・ライリー/5月5日
ストラヴィンスキー/バレエ「春の祭典」
ZOFOとは、ZO=20 and FO=Finger Orchestra。つまり20本の指で奏でられるオーケストラの響きという意味。アメリカを拠点として、世界各国で活動を広げられているお二人です。
(松永氏) 今回弾かれるストラヴィンスキー自身による連弾ヴァージョンのハルサイ(春の祭典)は特に、手の重なりなどが多く難しい曲ですが。
(中越氏) そこは綿密にポジションの話し合いなどを繰り返してきました。
というお話をされていた通り演奏を聴いてよくわかりました。例えばペダル一つとっても、通常連弾はセコンドが受け持つことが多いのですが、プリモの重要なシーンでは、その部分のみ入れ替わって受け持つなど、最初から最後まで音楽を壊さないためのチームプレーが満載! 連弾の醍醐味の一つには、こういう細かな工夫が出来る二人であるかどうかということも重要なポイントなんだと思います。
ピアノという楽器の魅力、可能性を隅から隅まで駆使しての演奏でした。「オーケストラ」の域です! ピアノの倍音、ホールの音響すべてが音楽になっていくのも、演奏家が細心の注意をはらってこそだと思います。(あと忘れてはいけない存在が調律師さんかもしれません!影の立役者ですよね♪)
CD情報
Duo-piano Classical/Mosh Pit-one Piano Four Hands: Zofo Duet (+blu-ray Audio)
ZOFO duet & Duo T&M
[豊岡智子(とよおか・ともこ)&正幸(まさゆき)]& 立花茂生(尺八)
西澤健一/夏の前奏曲[2台8手+尺八]
この日の演奏会のトリを飾ったのは、西澤健一氏作曲、世界初演になる2台8手+尺八での演奏の「夏の前奏曲」。
ストラヴィンスキーの「春の祭典」の後に演奏される曲ということで、これもまた楽しみの一つでした。プログラムに寄せられていた西澤氏の言葉の一部ですが、
(前略)この場に「終曲」はふさわしくない。私の作品は、彼らが創り出す夏への前奏曲である。
個人的な想いですが、ここから始まる新しい季節と、この「ピアノ・デュオ 春の祭典」の今後について強く重なりました。
ZOFO duet に日本の大ベテランの Duo T&Mが加わっての2台8手の演奏は、〜東日本大震災復興への祈りを込めて〜というまさにその願いや希望が込められた(と思われる)和声の進行を、時が流れていくかのように紡ぎ響かせ、爽やかな風と共に高みに引っ張っていってくれるような…そんな印象を受けました。
日本人は昔から「自然」を愛し、風の音や雨の音などを「楽器」や「音楽」にしてきた民族。「尺八」もおそらくそんな楽器なのだろうと思っているのですが、立花茂生(たちばな・しげお)氏が奏でた音色もまた春から夏に向かって吹く風のように聴こえてきました。
[仙台公演]2014年5月1日、戦災復興記念館ホール
[東京公演]2014年5月4日、東京オペラシティ リサイタルホール
ふぅ。長くなり過ぎましたね。ここまで読んでくださり、
ありがとうございました^^;;
コメント
まだ記事には書いていませんが、今年もラ・フォルジュルネ行ってきました。10周年だからなのでしょうか?
昨年よりも混雑していたような気がします。来年は、バロックとのうわさもあり、また楽しみです。ラフマもチャイコもなかなかの演奏でした。 ^^
最近、色々なフェスティバルのようなクラシックの企画がありますが、こんな素敵なピアノデュオの企画もあるのですね。全然知りませんでした。
機会があったら行って見たいと思います。 ^^
うささんもお手伝いされたようですね。
>mozさん
いつもコメントを残してくださり、ありがとうございます!
LFJはチケット取るのが間に合いませんでした(というか、あてにしていた方面から取れなくて T_T)mozさんのレポート楽しみにしています!!
そうなんですよね。LFJの影に隠れてしまっているのですが、ここのところ、関東ではいろいろ音楽祭が開催されているんですよね。この企画、本当に良かったです! もともと私も連弾やっていた人なので特にこういうイベントは続けていってもらいたいなと思っています。
あ、私、今回は全くお手伝いはしていませんっっっ。