長かった残暑もいつのまにかどこかにいなくなり、過ごしやすい「秋」がやってきました。「秋」というと、スポーツの秋、食欲の秋、芸術の秋…。いろいろなことにトライしたくなったり、体が動きやすくなる季節でもあります。それと同時に…もの想いに耽りたくなる季節でもありますよね。
●とことん泣いてストレス解消!
「愁い」という文字は「秋の心」と書きますが、まさにそういう季節でもあります。
そんな時は、
誰にも遠慮することなく、
泣いてしまった方が
きっと心が楽になる…。
とめどなく溢れてくる想いに浸ったり、
とことん涙を流したりする時…
自分の気持ちに寄り添ってくれる
BGMがあると…もっともっと浸れるはず!!
いや〜やってくれましたよ。ナクソスさん! そんな時のかっこうの相棒となってくれそうな「泣きたい人のためのクラシックアルバム」を発売してくれました。
と謳われたアルバム、それが、
「涙腺上のアリア~泣けるクラシック名曲集 – Various Artists」
そうです。J.S.バッハの「G線上のアリア」をもじってタイトルにしてしまっています^^; タイトルだけ見ちゃうと泣くというより、ちょっとクスっと笑ってしまいそうなアルバムですが。
●クラシック初心者でも聴きやすい構成
収録されている曲は、「G線上のアリア」から始まり「G線上のアリア」に帰っていくというパターンで全部で25曲。長い曲でも1楽章だけにするなど、短編小説をまとめているかのような作りになっているので、初心者でも退屈することなく聴くことが出来ると思います。
切ない歌詞のついている曲に自分を重ねて涙することもあるという人も、歌詞がついていないこれらの曲に耳を傾けてみると、きっと様々な想いが頭をよぎっていくのでは…。
私が高校時代、
初めてラフマニノフのヴォカリーズを聴いた時、
そしてアルビノーニのアダージョを聴いた時、
まさに心が震えたというか、
心がかきむしられるってこういうことを言うのだ…と
実体験したことを覚えています。
子供の頃から、ピアノを習っていたけれど、
今一つクラシック音楽に興味を持てずにずるずる続けていた自分に投じられた重々しくも切ない旋律。
この2曲と出会わなければ、
私は音楽の道に進もうとは思わなかったと思います。
だから…
私にとってのクラシックの原点でもある曲なんですよね。
この2曲も当然のことながら、
このアルバムに収録されています。
たっぷりと浸った後には…
きっと、スッキリと秋晴れのような気持ちが待っているのでは…。
最初の「G線上のアリア」に比べ最後の「G線上のアリア」は、同じ曲でも違った楽器で演奏されているので、雰囲気が違います^^ そんなことも気づけたら…あなたはもうクラシック音楽初心者から卒業ですよ♪
●曲の構成
このアルバムに収録されている曲の順番もなかなかのもの!
例えば…
このアルバムで初めて聴いたトマソ・アントニオ・ヴィターリというイタリアのヴァイオリニスト&作曲家の作った「シャコンヌ」は、これでもかっていうほど情熱的で、どっぷりと悲しみを運んでくる演奏になっていました。
聴いていて…
どんどん重たくなって、
苦しくなって、
切なくなって…もう本当にどうしよう…?
って思うくらいの気持ちにまで
突き落とされていきます。
…がそこで救いの神のように、
次に持ってこられた
ラヴェル作曲の
「亡き王女のパヴァーヌ」は、
比較的あっさりとした演奏で、
ほっと一息つけるものでした。
もちろん…じわじわと
悲しさが伝わってくるのですけれど…ね。
●演奏内容は…
ぶっちゃけ、聞いたことのない演奏者も紛れているし、特別「ををを…!!」って思えるものがあったわけでもないのですが^^; 曲自体が浸れるものなので、眉間にしわを寄せて何この音楽! なんてことはなかったことを付記しておきます。
ただ、イェネ・ヤンドーというピアニストにはちょっと興味を覚えました。演奏は初めて聴いたのですが、特に「悲愴」の第2楽章はこのアルバムのために弾いたのかしら? と思うような出来栄え。ばりばり心に訴えかけてきて、まさに長調だからこその「泣けるクラシック曲」というタイプの演奏でした。1952年生まれのハンガリーのピアニストだから、まだ聴ける機会もありそうですね。来日することがあれば、コンサートに足を運んでみたいな、なんて思ってしまいました♪
〈追記〉
聴き込んでいくうちにハマってきたのが、バーバー作曲「弦楽のためのアダージョ」op.11。
この曲今まで知らなかった曲なんですけれど、すごくじんときます。途中、弦だけ(ヴァイオリンだけ?)で織りなされていく和声の揺れは、もうめちゃくちゃ胸キュンもの♪ オーケストラの音の透明感が素敵すぎ! どこに響きが飛んでいくのかしら…って宙を見上げてしまう私でした。
それでどこのオーケストラかしら? と改めて確認すると、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管ではありませんか! 指揮はマリン・オルソップ。なるほど〜って思いました。
ちなみに…私の原点の1つと書いたアルビノーニの曲は…ちょっとピンとこなかったかなぁ。テンポがとてもゆっくりととられていて、私には合わなかった感じでしたが…
1曲ずつ自分の好きな演奏者を探して自分好みのアルバムを作っても良いと思うけれど、これ、25曲も入って900円っていうお値段が驚き価格だと思います♪
●収録曲( )内は演奏者
1 J.S.バッハ/G線上のアリア
(カペラ・イストロポリターナTJaroslav Dvorak)
2 ラフマニノフ/ヴォカリーズ Op.34 No.14
(Michael Grebanier & Janet Guggenheim)
3 モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ第21番 ホ短調 K.304より、第2楽章
(西崎たか子&イェネ・ヤンドー)
4 ショパン/ 練習曲第3番 ホ長調 Op.10 No.3 「別れの曲」
( Chen-zong Yin)
5 パヴロワ/ピアノと弦楽オーケストラによるエレジー
(Andrei Korobenikov, Moscow Radio Thaikovsky Symphony Orchestra)
6 ブリッジ/思い出(ヴィオラとピアノ編))
(Enliko Magyar & Tadashi Imai)
7 ブラームス/交響曲 第3番 ヘ長調 Op.90より、第3楽章
(ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団&マリン・オルソップ)
8 ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 Op.13 「悲愴」より、第2楽章
(イェネ・ヤンドー)
9 ヴィターリ/シャコンヌ・ト短調
(Bin Huang & Hyun-Sun Kim)
10 ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
(スロヴァキア放送交響楽団&kenneth Jean)
11 フィビヒ/気分、印象と思い出 No.151 (Hitomi Ito)
12 ヴォーン=ウィリアムズ/ヴィオラとピアノのためのロマンス
(Matthew Jones & Michael Hampton)
13 ジャゾット/アルビノーニのアダージョ
(パヴェル・ポガチ、カペラ・イストロポリターナ&Richard Edlinger)
14 ヘンデル/歌劇「リナルド」HWV7より、“私を泣かせてください(涙の流れるままに) ”
(Ingrid Kertesi, Camerata Budapest & Laszio Kovacs)
15 エルガー/ため息 Op.70
(English Northern Philharmonia & デーヴィッド・ロイド=ジョーンズ)
16 ペルゴレージ/「スターバト・マーテル」より、“悲しみに沈める聖母は涙にくれて ”
(Julia Faulkner, Anna Gonda, Camerata Budapest & ミヒャエル・ハラース)
17 チャイコフスキー/「四季」より、“10月 秋の歌 ”
(Ilona Prunyi)
18 グリーグ/ 「ペール・ギュント」組曲第1番 Op.46—II. オーゼの死
(BBC Scottish Symphony Orchestra & イェルツィ・マクシミュク)
19 クライスラー/プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ
(西崎たか子&Hae Won Chang)
20 バーバー/ 弦楽のためのアダージョ Op.11
(Royal Scottish National Orchestra & マリン・オルソップ)
21 ドヴォルザーク/交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」より、第2楽章
(Baltimore Symphony Orchestra & マリン・オルソップ)
22 マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」 より、間奏曲
(スロヴァキア放送交響楽団&Alexander Rahbari)
23 フィンジ/ロマンス 変ホ長調 Op.11
(Norhern Sinfonia & Howard Griffiths)
24 リスト/あきらめ S263, S187a, R388
(Philip Thomson)
25 J.S.バッハ/G線上のアリア(コントラバス編)
(Thomas Martin & アンソニー・ホルステッド)
【アルバム情報】
アルバム名 涙腺上のアリア〜泣けるクラシック名曲集
発売日 2012年9月28日
価格:アルバム900円(税込)/トラック150円(iTunes Store)
配信サイト:iTunes Store涙腺上のアリア~泣けるクラシック名曲集 – Various Artists
発売元:ナクソス・ジャパン株式会社
コメント
すごいアルバムですね ^^;
これ一枚で、涙も一日分流しきれるかもです。秋ですから、感傷に更けるのもまた良いですね。イェネ・ヤンドー、聞いたことあります。なんのCD だろう? 確か、うちにも一枚あると思います。
op34-14 いい曲ですよね。やはりうささんの原点なんですね。
僕は、またマーラーとかショパンとか聴いています。
マーラーは騙されたと思ってメーターの名盤といわれているのを買いました。かなり癖があるけれど、でも最終楽章などは感激、鳥肌たちました。ショパンはカティア・ブニアティシヴィリ聴いてます。とても素敵なピアニストさん ♪
>mozさん
こちらにもコメントをありがとうございます♪
そうなんですよね。すごいアルバム(笑)。ありそうでなかったアルバムですよね。私的には、この後「元気が出るCD」とか出して欲しいなぁと思ったりします。選曲とか、自分だったらどうするかなぁなんて思うと結構楽しいですよ♪
イェネ・ヤンドーはご存知だったんですね! さすがmozさん!! カティア・ブニアティシヴィリという方のはまだ聴いたことがないです。いつ頃の方なのでしょう?
マーラーは…なかなかオーケストラものが苦手な私的にはまさにオーケストラの王道なので手が出ないのですけれど…。男の方はお好きな人多いですよね。メータのがいいんですね。iTunesだと気楽に購入出来るってわかったので、ちょっと探してみようかしら♪