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「トムとジェリー」とクラシック音楽 Part 2

「ワルツの王様」(アカデミー賞受賞作品)

ワルツ王のヨハン・シュトラウス II 世

現存した作曲家のヨハン・シュトラウス2世(以下J.シュトラウス)家が舞台になるこの「ワルツの王様」。

ヨハン・シュトラウス2世=1825~1899、オーストリアの作曲家・指揮者・ヴァイオリニスト。生涯ワルツやポルカ、オペレッタ等、舞曲中心の作曲に打ち込み、「ワルツ王」と呼ばれている人です。ニューイヤー・コンサートなどでは、必ずといって良い程、ヨハン・シュトラウス2世の曲がプログラムに並びます♪


ねずみのジェリーはこのJ.シュトラウスの弾くワルツが大好きでピアノが聞こえてくると、いつも踊り出してしまいます。それを狙うトム。けれどいつも失敗というのは、お決まりのパターン。

ある日、J.シュトラウス(え? 本人宅?!)が演奏旅行で家を空けることになりました。そして「How To Play The Walts In Six Easy Lessons by Johan Strauss」(あなたも6つの簡単なレッスンでワルツが弾ける J.シュトラウス著)と書いてある教則本をトムが発見!

「ネコだって、練習すればピアノを弾けるかもしれない!」と考え、さっそく毎日ピアノの特訓に励みます。(なんて可愛い発想でしょう(笑)!)

レッスン1=単音「ラ」
(この画像の音としては「シ♭」が一番近いような気がします。画像が鮮明ではないのですが、多分楽譜はファになっています。以下同様で楽譜と音、実際に弾いている鍵盤はそれぞれ実際に鳴っている音とは微妙にズレております。本当はニ長調なので、「シ♭」→「ラ」だと思うので下記はニ長調表記にて。)
レッスン2=「ラ・ラ」単音が2つ並ぶ。
レッスン3=「レ・ラ・ラ」
レッスン4=「レ・レ・ラ・ラ」
レッスン5=「レ・レ・ファ♯・ラ・ラ」(少しだけリズムの変化が登場)
レッスン6=「レ・レ・ファ♯・ラ・ラ  ラ・ラ・ファ♯・ファ♯」(J.シュトラウスの「美しく青きドナウ」の冒頭部)

「美しく青きドナウ」の楽譜パブリックドメインの画像をWikiよりお借りしました。

ここまで出来たトムは、この後素晴らしいちょっとアレンジされた「美しく青きドナウ」の冒頭をほんの少し演奏し始め、満足げな笑みを浮かべます。この時のトムの嬉しそうな顔が個人的に大好き(笑)!

トムがピアノを弾いてジェリーが踊り出す。これを偶然見てしまったこの家のメイドさん。他の観客もどんどん増えて、演奏が終わると拍手喝采♪ 噂が噂を呼んで、最後は王様に呼ばれ宮廷で演奏…。という、微笑ましいストーリー。

下記の2曲に関しては使用されていることが確か(ネット上でも調べればすぐにヒットしますし)なのですが、冒頭あたりのワルツの曲が私には区別がつかず、何の曲なのか今ひとつ把握出来ませんでした。聞き覚えはあるのですが(汗)。(「皇帝円舞曲」「芸術家の生涯」「ウィーンの森の物語」このあたり…?! 今度楽譜でしっかり確認したいと思っています。もうしばらくお待ちください。→[追記]MUUSANから「皇帝円舞曲Op.437」と教えていただくことができました♪)

確実に使用されている曲について

[るんるん]美しく青きドナウ
トムが最初にヨハン・シュトラウス著の楽譜で練習する曲として使用されている「美しく青きドナウ」は、なんと戦争(普墺戦争)に負けたことを慰めるために作曲された曲なのだそうです。もともとは合唱曲でそのテの歌詞がつけられていたそうなのですが、後に管弦楽用に書き直され、今私たちがよく耳にする曲となったそうです。そんな経緯があったんですね。

[るんるん]トリッチ・トラッチ・ポルカ
王様から城に招待された時に演奏された曲の「トリッチ・トラッチ・ポルカ」は、1858に作曲され、パヴロフスク遠征大成功の余勢を駆って書かれた作品なのだそうです。

こうしてみると、ニューイヤー・コンサートとかでよく耳にするこれらのJ.シュトラウスの曲は、世情と密接な関係を持っていたんだなと改めて知りました。

「トムとジェリー」の大半の音楽を担当したスコット・ブラッドリー氏は、曲の他に効果音としても、即興演奏のように様々な楽器の音を駆使していました。
音階を上昇させて追いかけっこを表現したり、ぶつかる時に不協和音を使用したり。「ワルツの王様」でもこれらの工夫が随所に見られます♪

この「ワルツの王様」は、トムとジェリー「アカデミー・コレクション」に収録されています。

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新品 トムとジェリー アカデミー・コレクション / (DVD) WTB65465

【収録エピソード】
[ アカデミー賞受賞作品 ]
1.勝利は我に (劇場公開時:星条旗よ永遠にの巻)
2.ネズミとり必勝法 (劇場公開時:ねずみ取り虎の巻)
3.ただいまお昼寝中
4.ピアノ・コンサート (劇場公開時:猫の演奏会)
5.台所戦争 (劇場公開時:食いしん坊の仔鼠)
6.パーティ荒し (劇場公開時:鼠の二銃士)
7.ワルツの王様 (劇場公開時:猫の宮廷音楽会)
[ アカデミー賞ノミネート作品 ]
8.上には上がある
9.メリー・クリスマス (劇場公開時:トムとジェリーのクリスマスイブ)
10.あべこべ物語 (劇場公開時:鼠のハイド氏)
11.いたずらきつつき
12.ごきげんないとこ (劇場公開時:チュー太武勇伝)
13.武士道はつらい (劇場公開時:剣豪ジェリー)

Wikipediaの解説に
「画面を見なくても音楽を聞いただけで何が起きているかがあらかた想像できてしまうほどである。」とあるのも大きく頷くことが出来ますね☆
もともとはバッハに傾倒していたらしいのですが、ヒンデミットやストラヴィンスキー、シェーンベルクなどの前衛音楽と言われていた人たちの曲にも興味を持っていたのだそうです。

〈2019年4月追記〉

NHK Eテレの「ららら♪クラシック」(2019年4月5日放送、4月11日に再放送)で、「トムとジェリー」の特集が放映されました! やっと私も再放送で拝見することができたのですが、本当に興味深い内容でしたよ!!

効果音部分を楽音(楽器で演奏する音)で表現されていたことや、その音に隠されたさらなる心理描写、教訓などなど、釘付けになってしまいました。上記の記事は10年前に書いたものですが、10年経った今、また「トムとジェリー」を見たくなってきたことはいうまでもありません。

最後にサイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルがスコット・ブラッドリー作曲の「トムとジェリー」を演奏し、改めてその演奏テクニックの高度さを知ったり、楽し差がわかりました。

その演奏の様子が、実はDVD(とブルーレイ)にもすでに収録されているということもわかりました。超一流の演奏での「トムとジェリー」! 映画音楽でのコンサート・プログラムの中の1曲ではありますが、この1曲を見聞きするだけでも十二分に価値のあるDVDじゃないかと思います。気になる方はぜひどうぞ♪  ↓

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ヴァルトビューネ 2015

サー・サイモン・ラトル (指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 

 

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コメント

  1. sig より:

    こんばんは。
    またまたトムジェリ、見ちゃいましたよ。
    すてきですね。楽しいですね。
    特にラストの演奏、最高ですね。
    ブログもちから入ってますね。とてもためになります。

  2. ぴんくま より:

    う~ん、深い!
    確かに効果音だけでも、
    充分ストーリィが見えるかも。
    スゴイ技です~♪

  3. chicory より:

    あの教本でピアノが弾けるようになっちゃう
    (しかも足指でも弾ける)
    トムは天才ですねw
    朝からトムジュリでなごみました。

  4. うさ より:

    >sigさん
    おはようございます♪
    トムジェリは、見始めちゃうと見ちゃいますよね。私もこれらの記事のためにほんのちょっと見ようと思って何回か見たのですが、結局最後まで見ちゃいましたよ(笑)。
    このお話はなんだかとてもほほえましくって、特に好きです☆ だからこそ、もっと時間をかけてゆっくりと他の部分も調べてみたいなという気持ちになりました。また忘れた頃に登場するかもしれません^^

  5. うさ より:

    >ぴんくまさん
    効果音に関しては多分それだけで1回の記事になってしまうほど、スコット・ブラッドリーは凝った使い方をしているようです。Wikiもうまい表現を使っていますよね。>画面を見なくても…
    スコット・ブラッドリーのこの件に関するインタビュー記事がないか、英語圏まで手をのばして探したんですけれど、見つからなかったのが残念です(涙)。

  6. うさ より:

    >chicoryさん
    そうそう。ツッコミどころ満載の「6つの簡単なレッスン」。そこがまた夢があって(?)楽しいかもしれません(笑)。
    昔「柔道一直線」というテレビドラマで桜木健一(だったと思うのですが)が、足でピアノを弾くシーンがありましたが、それ以上にすごい体制で弾いているトムって…!? 実はトム、以前chicoryさんがお好きだと書かれていた「星空のオーケストラ」の中で、いろいろな楽器を弾くシーンがあるのです。ほとんどの楽器を弾けちゃうみたいですよ〜^^「天才」以上の言葉があれば、その称号をトムに捧げたいくらいですね。

  7. MUUSAN より:

    おはようございます。私は子供の時、その純真さから、「ピアノってこんなに簡単に弾けるようになるんだ」と真剣にこれを信じたことがあります。やれやれ……。でも、このレッスン・シーン、笑えますよね!冒頭の作品は、ご推察のとおり、皇帝円舞曲Op.437です。

  8. きこじじ より:

    トムとジェリー、楽しいし見事ですよね^^
    ワルツの王様は、初めてみました。
    色々と楽しく、勉強になります。ありがたいです。
    トムとジェリーといえば、
    こうもり序曲の星空の音楽会は好きで、you tubeで何度も見てます。
    お正月に、「ウィーン・シュトラウス管弦楽団」が毎年日本で、ニューイヤーコンサートをしているそうです。今年一番安い席で聴きに行ってみたんです。こうもり序曲が聴きたくて。
    やっぱリ素晴らしかったです。かわいらしいパフォーマンスもあったりして・・・。チケット2000円だったかな。ウィーンフィル聴くのとはひとケタ違いましたが、とっても良かったです。

  9. うさ より:

    >MUUSAN
    こんにちは♪
    やっぱり子供って、こういうのを信じてしまうんですねっっっ(笑)!! その後落ち込んだりされたんでしょうか? このレッスン・シーン、私もYouTube見ながら一人ニヤニヤしちゃって、怪しい人になっていました(音はヘッドフォンしているので)
    >冒頭の作品は、ご推察のとおり、皇帝円舞曲Op.437
    さすがですね!! よくご存知で。
    私、実はオーケストラ曲全てに言えることなのですが、シュトラウスも似たようなワルツやポルカの区別があまりつかないんですよね(汗)。しっかり覚えるまで聴こうとも思えなかったりするし。何となく楽しく雰囲気だけでいかに集中して聴いていなかったかと今回思い知ってしまいました。
    先日、MUUSANのところに書き込ませていただいたのですが、うまく投稿出来なかったみたいです。。。また遊びに行かせていただきますね♪(お勉強させていただいております☆)

  10. うさ より:

    >きこじじさん
    >「星空の音楽会」
    私もこれ、大好きです!! 最後にジェリーがステージに切り込みを入れて団員が一人二人(1匹2匹)といなくなってトムが全楽器を受け持つなんて発想、最高に面白いです♪
    ウィーン・シュトラウス管弦楽団は、そんなに安いんですかっっっ!! 日本なのに(笑)。同じ「ウィーン」違いで随分値段が違いますが、十分楽しめそうですよね。毎年来ているなら私もチェックしてみようかしら。
    情報ありがとうございます♪ やっぱりシュトラウスの曲が並ぶのかな…?!

  11. MUUSAN より:

     いえいえ、私もJ.シュトラウスは苦手でして……CDで確認したしだいです。
     ぜひ遊びに来てください!

  12. うさ より:

    >MUUSAN
    ああ、確認していただけて感謝でございます^^
    これからも、フォローいただけると大変嬉しゅうございます♪

  13. kontenten より:

    このCD(ボスコフスキー/ウィーン・フィル)
    ・・・持ってます^^;アセアセ
     やはり、ヨハン・シュトラウス2世の定番(w)
    私は、皇帝円舞曲が大好きです(^^)。

  14. うさ より:

    >kontentenさん
    をををを!!! 持っていらっしゃいましたか! さすがですね〜〜☆ もしかして、改めて聴かれたりしました? あるいは、どんなCDか、感想キボンヌです♪

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