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深遠な響きに酔いしれて〜小山実稚恵さんのピアノ・リサイタル

先週の土曜日、小山実稚恵さんのコンサート
「『小山実稚恵の世界』〜ピアノで綴るロマンの旅」
に足を運びました(東急文化村オーチャードホール)☆

このコンサートはシリーズもので、2006年から12年かけて毎年春と秋に24回のリサイタルを開催するという、とてもとても大きなプロジェクト。

毎回、テーマとして「色」が掲げられ、第7回を迎えた今回は「若草色」。ご本人もお好きなグリーン系です。そしてこの若草色のイメージとして〜若き恋〜というタイトルも添えられていました。

假屋崎省吾さんを始め、フラワー・アーティストによる大きなお花が毎回ステージに飾られたり、小山さんご自身もテーマカラーのドレスを身につけて登場されることも見どころの一つとなっている名物シリーズです。私は女性としても憧れている小山さんと共に、この12年間で足を運べる限り、通いたい! と心に決めているコンサートの一つでもあり、今のところ7回中、5回足を運んでいます♪(どうしても仕事の都合で行けない日とかあるので…)

〈プログラム〉
ショパン/ノクターン 第1番 変ロ短調、第2番 変ホ長調
シューマン/謝肉祭「4つの音符による面白い情景」作品9
ブラームス/ソナタ 第3番 ヘ短調 作品5
〈アンコール曲〉
ショパン/ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 第2楽章
ショパン/ノクターン第20番
 ※「戦場のピアニスト」でBGMとしても使われた曲です。

シューマンの作曲した「謝肉祭」は、まだシューマンが奥さんとなるクララに出会う前に作られた曲ではありますが、シューマンと結婚後、そのクララを慕っていたブラームスの若き日の作品を同じプログラムに載せていらっしゃるのもニヤリとしてしまいます♪

演奏は、まず、しょっぱなのショパン(ダジャレではありませんがっっ)。「ノクターン」の最初のフレーズが奏でられた瞬間、ものすごい集中力と丁寧なタッチに驚いてしまいました。ほんの数音なんですよ。でも、それだけで鳥肌がたつくらいで、その美しさったら…! 凛と張り詰めた空気の中に一筋の光。そして喜びと苦悩…。全てが凝縮されていた感じでした。
「つかみはOK!」状態。久々に心打たれる「ノクターン」に接したような気がします。さすがです! 小山さんの音楽はとても深遠で酔いしれてしまいました。

続いてのシューマンの「謝肉祭」はどうやら、シューマンが昔好きだった女性の住んでいた地名を曲の中に織り交ぜたちょっと遊び心のある曲らしいのです。

突然ですが!
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ(ティ)・ド」
これはイタリア語読みだってご存知でしたでしょうか?
(ちなみに、日本語は「ハ・ニ・ホ・ヘ・ト・イ・ロ・ハ」よん☆)
これをドイツ音名にすると
「C(ツェー)・D(デー)・E(エー)・F(エフ)・G(ゲー)・A(アー)・H(ハー)・Cツェー)」
となるんです。
そして♯(シャープ)の時には、これらの後に「-is」、♭(フラット)の時にはこれらの後に「-es」がつくのです。
(例外として、EはEesではなくEs、AはAesではなくAsの表記、HはB=ベーになります)
シューマンの好きだった女性が住んでいた場所は、「アッシュ=Asch」というところで、実は全て音で表記出来ることになるんですね〜。

Robert Schumann

そして、シューマン(左写真)=Schumannの名前のスペルにも含まれている4つでもあるんです。(SCHA→ASCH)

「アッシュは大変に音楽的な町名です。それは私の名前にも入っています。しかも私の名前で音になる文字はこれしかないことを今発見したばかりです。これは痛ましく響く事でしょう。…今作曲に夢中です」(1834年9月13日付けのシューマンの手紙より)

ドイツ読みで
A=ラ
S(Es)=ミ♭
C=ド
H=シ
または、A+S=As=ラ♭
これを基本に作られた曲なのだそうです。残念ながら私は弾いたことがない曲なので、詳しくはわかりません。もっと細かに調べるととても面白いお話しがあるような曲です。

作曲家って時々こういう遊びをする人がいるみたいです(笑)。バッハ(Bach)も自分の名前のスペル「BACH」(シ♭ーラードーシ)を使って曲を作ったりしたみたいですよ♪

昔私もこういうのにチャレンジして曲でも作ってみようかな…と
「永遠(とわ)に」(日本の読み方で、ト・ハ・ニ=ソ・ド・レ)というタイトルで、作ったことがありますが…。結局、未完成のまま撃沈いたしましたっっっ(笑)。これを読んでパクる人出てきますか?(笑)
いやいや話しがまたしても脱線してしまいました(汗)。

そうそう、小山実稚恵さんの演奏!
本当に素敵でした。全てが何かとても心に迫ってくるような…。若い頃の情熱を思い出させてくれるような…。いろいろな「愛」の形が、音色に吹き込まれているような…。最後のブラームスのソナタも一音一音が移ろう時の流れと共に、時にときめいたり、細かな音はしっとりと転がってみたり…。ブラームスの作品って大きいんだなぁってしみじみ感じてしまいました。

小山さんは、
「一度きりの人生で、本当に自分が何をしたいかと思った時、やはり弾きたい曲を弾かなければ」
と思ったのだそうです。そしてこのシリーズは
「弾きたい曲しか入っていない」というもの。
彼女の夢はというと
「ピアニストとしての夢は弾きたい曲を弾けるのが一番」なのだと。
まさに今彼女の
「夢の形を一つ実現している途中」
なんですよね。そう思うと、一緒に立ちあえる自分がとても幸せに感じたりもするのです。

凄いなと思うのは、これだけのシリーズだけでも、継続していくのは大変なはずなのに、この他にも24日には、高崎市文化会館でチェリストの堤剛さんと共演されたり(もちろん別の曲になります)、その他にもオーケストラとの協奏曲の共演や、地方でのリサイタル…。驚くほどの曲数をこなされてリサイタルに臨まれていらっしゃるんですよね。素人感覚からすると、本当に目が回りそうですし、頭の中ってどうなっているんだろうって思います(笑)。

このシリーズの次回は
11月14日(土)15時、オーチャードホール
「明るい水色」
〜透明感のあるファンタジー
モーツァルト/ソナタ第11番(トルコ行進曲付)
イ長調 K.331
メンデルスゾーン/厳格な変奏曲 ニ短調 作品54
シューマン/アベッグ変奏曲作品1
ベートーヴェン/ソナタ 第12番 変イ長調 作品26
ラフマニノフ/コレルリの主題による変奏曲 作品42
が予定されています。
私の大好きなラフマニノフの曲が入っているので、次回もぜひ出かけたいな♪

追記(6月24日):大切なことを書き忘れました!
今回の演奏会でとても嬉しかったことがあったんです。それは曲が終わった後の拍手。
小山さんを始め、演奏家の方って皆さん、最後の音を奏でて、その響きがホールの中、心の中に続いている限り、余韻を大切にされるのですが、通常ここで、その響きを無視したかのように曲が終わったからとフライング拍手なるものが起こったりすることもあるのです(そんな時、私はかなりがっかりします)。でも、今回の演奏会ではお客さん全てがその響きの最後の最後までを聴き届けてから、拍手をして心が一つになったような会場の雰囲気は感動しました! 客席と演奏家が一体となって音楽を感じた演奏会だったのではないでしょうか。

今までの7回分のコンサートとこれからの17回分のコンサートについてが凝縮されて、小山実稚恵さんの魅力もたっぷり収納された本が出ています♪

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小山実稚恵の世界〜ピアノで綴るロマンの旅
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この本の表紙を開いたところに私はサインをいただいちゃっています☆
小山実稚恵さんのお薦めCDはこちら☆


ラフマニノフ (1873-1943)/Piano Concerto.3 Piano Sonata.2: 小山実稚恵 Fedoseyev / Moscow. rso
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番二短調作品30
ラフマニノフ/ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調作品36
小山実稚恵(ピアノ)
フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団

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